<南風>ご当地カレーが人を呼ぶ


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 全国で広がる空前のカレーブーム。神田神保町、秋葉原に続き、関西スパイスカレーや札幌スープカレー。そして、この数年、沖縄でもカレー専門店が続々とオープンしている状況だ。カレー好きが高じて、主催している那覇カレーグランプリ。9年前の開催当初は、那覇市内にカレー専門店が少なく、出店者を集めるのに苦労したことを覚えている。

 那覇市をカレーであふれる街にしたいという思いに賛同いただき、飲食店にカレーメニューを考案いただいた。カレーライスのみならず、カレーラーメンやカレー味の唐揚げまで。イベントは、会場をあふれるほどの集客となり、沖縄にもたくさんのカレーファンがいることを知った。

 東京の下北沢カレーフェスティバルの主催者にお会いする機会があった。下北沢はハイセンスな飲食店が軒を連ねるグルメ激戦区。その中で、ジャンルの異なる店舗がカレーメニューを開発。今ではカレーカルチャーが浸透し、カレーを食べに遠方から下北沢を訪れる人も多いという。

 個人的見解だが、カレー店が増えた背景にはコロナ禍の影響もあると思う。居酒屋やバーの夜間営業が厳しかったころ、ランチや弁当販売を始める店が増え、その中でカレーも多く見かけた。それがおいしいと口コミで話題になる店も。中にはカレーが評判で、ランチ営業をメインに切り替える店もあるほどだ。

 カレーは、レギュラーメニューの食材が使えて、メニュー開発がしやすい。さらには、日持ちもよいので、ロスも少なくできる最適なメニューだったのかもしれない。

 国民食でありながら、各地で名物カレーが誕生し、土産屋にはご当地レトルトカレーが陳列されている。新たなる観光コンテンツとして、今後も目が離せないご当地カレー業界である。
(下地友香、ちゅらグルメ編集長)