<南風>演歌番組への挑戦


社会
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 アナウンサーの仕事には番組のMCがある。新番組の立ち上げから関わることもあれば、前任者から引き継ぐこともある。中にはまったく知らないジャンルの番組を担当することも。私にとってはそれが演歌だった。

 この6月までおよそ3年間、演歌番組を担当した。前任の先輩アナウンサーが異動となり、彼の担当していた番組を引き継ぐこととなったのがきっかけだった。当初、演歌に関しての知識がほとんどない私は不安だった。演歌といえば着物を着た年配の歌手がこぶしをきかせて歌っているイメージしかない。氷川きよしさんの存在は知っていたが、彼は例外だと思っていたのだ。また、演歌というジャンルを楽しめるだろうかという思いもあった。J―POPや洋楽などの聞き慣れた曲とは違い、ほとんど初挑戦なのだ。有名曲のいくつかは知っているが、その程度だ。

 ところが実際に番組を始めてみると、私の不安は杞憂(きゆう)に終わった。演歌の新曲を紹介するために会社のライブラリー(CD保管室)を調べてみると、若手演歌歌手が非常に多いのだ。中でも近年人気のある20代の若手演歌歌手らは演歌第7世代と呼ばれ、ファンに愛されている。

 CDのジャケットも着物ではなく、スーツをオシャレに着こなして、こちらにほほ笑みかけている、まるでアイドルのようなものもある。もちろん、当初私がイメージしていたような歌手もいるが、インタビューをすれば親近感が湧き、曲への思いを知れば楽しく聞ける。気が付けば演歌を面白いと思うようになっていた。

 番組は終了したが、3年間の経験は私の世界観を変えてくれた。今後も未知のジャンルに触れることがあるだろうが、それを楽しめるような心持ちで新たな世界を開拓していきたい。

(小橋川響、ラジオ沖縄アナウンサー)