<南風>沖縄と北京


社会
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 中国国際航空が那覇―北京の直航便の運航を9月17日から再開するとのニュースが飛び込んできた。玉城デニー知事が7月5日に北京で李強首相と面談した際に申し入れたことであり、早期実現は実に喜ばしい。

 中国はコロナの影響でストップしていた日本への団体旅行を8月10日に解禁した。9月末から10月初旬にかけては中秋と建国記念日に伴う大型連休を控えており、多くの観光客の来日が見込まれる。直航便再開により沖縄もインバウンド需要の取り込みが大いに期待できる。受け入れ体制に関する不安もあるようだが、沖縄訪問を心待ちにしていた観光客を、どうか温かく迎えてほしい。

 直航便再開で沖縄から北京へ行く利便性も格段に高まった。沖縄と中国との関わりといえば琉球の時代に交流の玄関口になっていた福建省が有名だが、実は北京と琉球も交流が盛んだった。北京人が愛飲する「茉莉花茶(モーリーホァーチャー)」はさんぴん茶そのもの。お菓子「開口笑(カイコウシァオ)」はさーたーあんだぎーとそっくり。

 人的交流でいえば、琉球は国費留学生を北京に派遣し、当時の最高学府「国子監」で学ばせたが、国子監は紫禁城の北側に博物館として今も残されている。

 帰国を果たせず客死した琉球人もいた。そのうち14人が北京の通州区張家湾に埋葬されている。墓そのものは日中戦争の際に破壊されたそうで現存していないが、現地には「琉球国墓地遺跡」と書かれた標識と碑が建てられている。

 交流は双方向で行うことでより意義を増す。直航便の再開を好機として、沖縄からも多くの人が北京を訪れ、琉球から続く縁に触れてみてほしい。もちろん、肩に力の入った旅ではなく、北京ダックや羊のしゃぶしゃぶなどを味わう北京絶品グルメツアーも強くお勧めする。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)