<南風>グローバル化? ローカル化?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ハワイ移住2年。これまでに、家族やいとこ、友達、約30人がハワイを訪れ、その度にローカル目線でハワイを案内した。反対に、ハワイの友達やツアーグループを連れて、沖縄を案内する機会もあった。

 ハワイでも沖縄でも案内する立場になると、その土地の魅力を最大限に伝えるには、メジャー観光スポット以外に何を見せればいいのか、すごく考えさせられる。しかし、みんなに共通していることは独特な文化がつくり出す、ユニークなハワイ・沖縄を探していることだ。
 ハワイでは、これまで以上にさまざまな分野で、ハワイの歴史・文化周知の重要性が問われている。建築では、コンセプト段階から、歴史家がチームに加わることも多く、リゾートプロジェクトはもちろん、商業・学校・モノレールなどの、公共施設にも、ハワイにまつわるデザインを見ることができる。現在建設中のモノレールでは、昔使われていた地名が駅名に採用され、駅周辺のコンクリート柱にはこれまで埋もれていた、その土地にまつわる歴史・ストーリーがデザインされている。
 プロジェクト成功のカギは、建築家をはじめ市民、行政、さらには本土・海外のデベロッパーがハワイ文化の価値を理解し、積極的に取り入れていく姿勢にある。
 テクノロジーの発展で、世界はどんどんブレンドされ、都市と都市の境目は、今後さらに薄まっていく。そんな時代だからこそ、その土地の歴史・文化は、今後、より貴重な観光資源となり、ユニークな都市を作り上げる重要な要素となるだろう。
 観光客がもつ、南国イメージを再現するような観光を超えて、私たち地元沖縄の人が、世界に向けて伝えたい、本当の沖縄とは何か。改めて考え、デザインしていきたい。
(比嘉具志堅華絵、ハワイ沖縄連合会会員、『SHINKA』副会長、1級建築士)