<南風>二胡の話


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 前回、私が演奏したり、指導したりする楽器は、主にチェロだと書きましたが、他に二胡の演奏や指導もしています。二胡はもちろん中国の擦弦楽器です。チェロも擦弦楽器で音の出る仕組みは原理的に同じですが、楽器の形や大きさ、材質などが異なり、音色や音域、奏法などいろいろ違います。

 大きな違いは、弦の本数と、棹(さお)と弦の距離です。チェロやヴァイオリンの弦の数はもちろん4本ですが、二胡の弦は2本です。その2本の弦の間に弓の毛が挟まっていて、その毛をどちらか一方の弦に押し当てて擦って弾き分けます。そして、左の指で弦を押さえて音の高さを変えるのですが、二胡は棹と弦の間が広いので、指を棹(指板)までしっかりと押さえることができません。
 だから、指が浮いた状態で演奏します。そのため、押さえた指の力加減で音の高さが微妙に変わってしまいます。それは、音高の変化の大きいヴィブラートや、ポルタメントを多用した中国独特の音楽の演奏に適しています。
 このような特徴が、二胡を習い始める初心者にとっては難しいことのようです。弓で擦って音を出し、弦を弾き分けること、指で弦を押さえて音の高さを決めること、これは、正しいつぼを押さえるだけではなく、指の力も一定にしないといけないので、さらに慣れが必要です。
 こう記すと、何だか脅し文句のように響くかもしれませんが、どんなことでも慣れるまでは大変ですが、慣れてしまえば楽しくできるようになります。
 沖縄県内でも二胡人口は年々増えていて、私が指導しているカルチャーセンターや二胡教室でも、下は小学生から上は70代の方々まで楽しく二胡を学んでいます。
 みなさんも二胡を始めてみませんか。
(川崎達、沖縄弦楽指導者協会会長)