<南風>古楽の魅力


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 古楽とは、バロック(バッハやヘンデルなどの音楽)やそれ以前の音楽のことですが、近年はそれを演奏するのに、当時の楽器を使用することが多くなっています。ピアノだとチェンバロを、ヴァイオリンはバロックヴァイオリンを、フルートはトラヴェルソフルートを、チェロはバロックチェロやヴィオラ・ダ・ガンバなどの楽器を使用します。

 それぞれの楽器の違いを説明すると、ピアノもチェンバロも鍵盤楽器で形も似ていますが、音を出す仕組みが、ピアノは弦をハンマーでたたいて音を出し、チェンバロは弦を弾いて音を出すその内部構造が違います。なので、音色も響きも違います。
 バロックヴァイオリンと現代のヴァイオリンの形は同じですが、バロックヴァイオリンはガット弦を使用し、現代のヴァイオリンは音の輝きと音量を求めてスチール弦を使い、バロックヴァイオリンより半音ほどピッチを高く調弦します。そのため、現代のヴァイオリンは弦の張力に耐えられるように、内部構造が強化されています。チェロもヴァイオリンと同様に内部構造の違いがあり、さらにバロックチェロは現代のチェロにあるエンドピンがありません。
 トラヴェルソフルートは木製のフルートでキーがほとんどなく、音孔を直接指で押さえるので、現代のフルートよりも柔らかな音を出すことができます。
 このような楽器を使った古楽アンサンブルは、派手さはないのですが、繊細な響きが楽しめます。古楽アンサンブルのコンサートが8月26日(金)にパレット市民劇場で開催されます。タイトルは「山内昌也&古楽アンサンブル ジョイントリサイタル」です。古楽アンサンブルの生音を聞くめったにないチャンスです。出掛けてみてはいかがでしょうか。
(川崎達、沖縄弦楽指導者協会会長)