<南風>五輪と厳格なドーピング検査


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 沖縄出身歌手の安室奈美恵さんのリオ五輪テーマソング「Hero」と共に、日本選手団活躍のニュースが流れました。ウエイトリフティングのコーチとして参加し、メダル獲得や教え子のセコンドにも付くことができ、何とも言えない喜び、感動を味わいました。

 コーチとして私の主な仕事は、トレーニングに関するアドバイスや補助、コンディショニングケアやトレーナーとの調整、ドーピングテストに関することや試合での駆け引き、重量の設定など。選手のメンタル面を考慮し、行いました。
 特に印象に残っているのは、大会までの3週間で抜き打ちのドーピング検査(競技会外検査)が日本国内3回、選手村内で2回、試合後の検査(競技会検査)が2回行われたこと。その度に選手と帯同しましたが、チーム全体で7回のうち1人の選手に4回と、かなりの頻度で検査に抽出されました。IOC(国際オリンピック委員会)の厳しい体制を感じました。
 残念ながら、競技全体の中で重量挙げ競技は、ドーピング陽性検体第2位になっています。部屋で休養を取っていようが、レストランで食事していようが、その日にWADA(世界アンチドーピング機関)が指定した選手を検査するために、検査委員が選手村内を捜索して回り、抜き打ち検査に連れていかれます。
 クリーンな選手が、試合前にリラックスするプライベートの時間まで検査を受けなくてはいけない状況が多々あります。階級制の競技で減量している選手とっては、必要な尿を出すには何時間もかかります。時には検査委員から「早く尿を出してください」など、本来強要してはいけない発言もあります。
 2020年東京五輪では、選手にとって心身ともに良いコンディションで試合を迎える環境になっていることを期待したいです。
(平良真理、沖縄工業高校ウエイトリフティング部顧問)