<南風>世界を変える武器


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「教育の格差を是正する!」という理念を元に設立されたNPO団体「Teach For America」。日本でも「Teach For Japan」(以下、TFJ)として活動している。設立したウェンディ・コップ氏は、大学生活を過ごす中で、「教育格差の問題は非常に大きな社会問題であると誰もが認識している。しかし、優秀な大学の優秀な人材は、みな医者や弁護士、銀行やコンサルティング会社などの大企業にばかり就職している。優秀な人材を教育現場に送り込むことはできないのか?」という疑問を持った。

 その疑問を解決すべく、優秀な学生を教育困難校へ教師として送り込むという仕組みを創った。彼女の起こしたこのNPOは、今ではアメリカの文系学生の就職したい企業ランキングにおいて、上位に位置するようになった(2010年には1位になり、大きな話題になった)。

 先日、東京大学に通い、TFJでインターンシップをしている沖縄出身の学生と会食した。「教育の力を信じている。それは僕自身が一番感じている。教育の力で沖縄を素晴らしい社会にしていきたい」。熱く語る若者の言葉に感動した。

 当社もTFJの教師採用管理システムをボランティアでサポートしている。またその活動を沖縄でも展開できないかと、沖縄での準備事務局を手伝っている。

 連日、子供の貧困に関する記事を目にする。親の年収で、教育レベルが変わり、最終学歴に差が生まれ、年収の差につながっていく。この負の連鎖は、アメリカも、日本も、沖縄も共通している。

 「教育とは、世界を変えるために用いることができる、最も強力な武器である」。ノーベル平和賞を受賞した故ネルソン・マンデラ大統領の言葉だ。わが美ら島沖縄が、教育の力でさらにいい社会になる日を夢見ている。
(寺田克彦、テラ・ウェブクリエイト社長)