<南風>亡き祖父宛てに届いた手紙


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 2014年1月。15年前に亡くなった祖父宛てに、一通の手紙がハワイから届いた。送り主は93歳の野原さん。英語で「私達は親戚かもしれない。息子夫婦が初めて沖縄を訪問するので会ってほしい」とあった。

 彼らと連絡が取れ、会うことができた。彼は、父親から託された手書きの家系図を大事そうに抱えていた。彼と私たちの家系図を見比べた結果、彼と私の父が又いとこに当たり、私たちはつながった。

 ハワイへ来てすぐ、主人の建築事務所へ挨拶に行った時のこと。同じ名字だということで、「タッド具志堅」という建築士を紹介された。「Nice to meet you. I’m Tod Gushiken.」「私も具志堅です。もしかしたら親戚かも」と冗談を交わした。

 後日、私たちは念のため、お互いの家系図を見比べた。鳥肌ものだった。両家系図は見事に一致し、彼の家系図には私の祖父の名前がはっきりと記されていた。彼と私は、又々いとこに当たり、つながった。

 ハワイに渡った私を、彼らはとてもうれしそうに歓迎してくれた。

 父はよく私たちに、ブラジル・ハワイへ移民したいとこ、叔父、叔母の話をした。また、彼らとのつながりを何よりも大事にした。常に連絡を取り合い、家族が増えたと聞けば、その都度家系図を更新した。父の努力があったからこそ、今、こうして新たな親戚とつながることができている。

 ハワイでは、いまだ沖縄の親戚を見つけられないウチナーンチュがたくさんいる。彼らはつながりを求めて、家系図、屋号調べに必死だ。10月26日、5年に一度の「世界のウチナーンチュ大会」が開催される。もしかすると、世界のどこからか、あなたを尋ねて来る人がいるかもしれない。ぜひ一度、移民した先祖がいないか、祖父母、両親に質問することから始めてみよう。
(比嘉具志堅華絵 ハワイ沖縄連合会会員、『SHINKA』副会長、1級建築士)