<南風>ルーツを知る


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 ウェイトリフティング競技と出会い、周囲の方々に育てられた選手時代、また、指導者としての今も素晴らしい経験をさせていただいています。リオオリンピックを終え、帰国し関係者の方々や同僚・友人がそれぞれ慰労会を催してくださりました。その中でもオリンピックの報告を行う機会があり人の話を聞くことは好きな私ですが、人前で話すことがとても苦手なのですごくプレッシャーのかかる日々が続きました。

 県協会の慰労会では大先輩方と話す機会をいただき、会話が進む中、ウエイト協会の始まりについて質問しました。1958(昭和33)年に重量挙げ愛好者が集まり協会を設立、室内競技ではあるが、室内体育館での練習許可が下りなかったり、普及活動のためにと小学校の運動場で練習を重ねていたそうです。運動場での練習は、バーベルを下ろす度に地面に跡が付き、沈むため、足場が悪くなります。そうすると横に移動してまた移動してと気が付いたら運動場を1周していたそうです。

 器具においても公認のバーベルがなく、コンクリートでバーベルを自作し、試行錯誤。資金のない状態から世界で戦える選手を育成したのは、先輩方の熱意であることは間違いありません。「小さな沖縄でも大きな力を発揮し、日本のトップへ挑戦していこう」と、選手たちにいつも声掛けしてくれます。

 うれしいことに2020年、沖縄県発祥の空手が東京オリンピックで正式採用になりました。それも関係者の心からの願いや努力が実った事だと感じます。私も奥深い空手のルーツに興味をもち2020年に向けて空手を楽しみたいと感じています。

 さらには、東京オリンピック空手競技が開催地沖縄となって県民で盛り上げて県内選手の活躍も期待したいです。
(平良真理、沖縄工業高校ウエイトリフティング部顧問)