<南風>夢はもがいた末に


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 寝る時間になり、電気を消すと「お話しして!」と子どもたちに言われる。5分程度の創作話を妻と毎晩のように話している。もう2年くらい続いているから百話くらいは生まれたのではないか。

 私は何かを生み出すことを習慣にしていたいと思う。沖縄は小さな島の割に新しい曲がどんどん生まれ、カチャーシーなど人それぞれの表現で生み出される魅力がある。

 人との交わりの中で創出することは、まちづくりの一端を担う公民館でも求められている。多様化する地域課題に対し、どの地域でも人材、資金、ネットワーク、拠点がないなどの指摘がある。地域の課題解決ができる持続可能なコミュニティの創出に期待がかかっているのだ。私はとりわけ若い世代の活躍がカギを握っていると感じる。すべての世代をつなぎ、未来に力を結集させてくれる。

 私たちの繁多川公民館は近隣の中高校生向けに、ボランティアを公募している。本年度は80人くらいの生徒が地域行事を裏方で支え、地域資源を理解し、活性化につながる企画をやり遂げた。最初は予想以上の応募に驚いた。「だれかの役に立ちたい」と考える若者は増えている。

 彼らと地域の課題を見つめ、地域から沖縄・世界の振興に貢献できる視野を共有していきたいと思う。ボランティアから中小企業のリーダー、あるいはベンチャー企業まで多様なポジションでコミュニティーに関わる若者がこの中から生まれてくるだろう。

 口では簡単に言えるが、人の成すことは汗にまみれ、予期せぬことばかりだ。同時に私たち自身が、常にもがき、生み出していく仕事を見せなくては伝わらない。

 私は今夜も創作話にもがいた末に、眠りに落ちるだろう。子どもの寝息を感じて。
(南信乃介、NPO法人1万人井戸端会議代表理事)