<南風>蟻の勤労する権利


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 働き蟻(あり)の法則を聞いたことがありますか。

 「働き蟻の集団では8割が働き、残りの2割は働かない。その2割の働かない蟻だけで集団をつくっても、8割が働き、同じように2割は働かない」というものです。

 私は一時期、最後まで働かない2割に入り続け、「キングオブ働かない働き蟻」を目指す、と言っていました。もはや、それは女王蟻なんじゃないか、ということにも気付きません。

 そんな時、重度障害を持つ友人が「働いて納税することが目標」と、何とも輝く瞳で話してくれました。

 私のばか。そうでした。私は働きたいから働いているのに忘れていました。でもそれは私のせいではありません(と、ここで責任転嫁する能力を発揮)。

 国民の三大義務として「教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務」を定めているのが良くないんです。特に勤労と納税は支配される感じがして嫌ですね。放棄したい。

 でもこの三つを義務ではなく権利だと定めてしまえばどうでしょう。最初に社会システムの不備が見えてきます。

 例えば「働きたい」「納税したい」と思っている友人の権利を奪っているのは何なのか。権利行使のできる環境をつくらなければいけない、と気付きます。

 また、教育を受けさせる義務。現在は重度障害児の親に「就学免除願」などを提出させて障害児の教育をうやむやにしています。

 でも本来は子供の権利なのだから、親の免除願などで奪えるものではありません。

 と、今では「キングオブ働かない働き蟻」発言をなかったことにして「勤労を含め三大義務は権利派」になっています。

 この変わり身の早さに自分でも驚きますが、どうぞ責めないでやってください。
(宜寿次政江、HIV人権ネットワーク沖縄副理事長)