<南風>秋の夜長と不摂生


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 秋の夜長。ベッドでゴロゴロしながらの読書タイムもいつも以上に長くなる。そろそろ、あともう少し、とページをめくるのをやめられずにいたら、眠れなくなってしまった。

 夜更かしは体に良くないと分かっているものの、今夜も目がさえて寝付けない。手に負えない自分を何とかなだめようと「眠くなる方法」を案じると真っ先に浮かんだのが、おなかを満たすことだった。

 そうだ、ヨーグルトにしよう! ちょこっと食べればカロリーも少なくてすむし、ぱぱっと食べて、空腹を紛らわせられれば、眠気もやってくるに違いない。いそいそと冷蔵庫の扉を開けて、奥に冷やしてあった容器を手前に引き出す。その拍子で前にスライドされたのが明太子だった。

 消費期限に目を合わせてしまったのがよくなかった。今日までだ。あと数分で明日になろうという時刻。食べ物を粗末にしてはいけない。

 かくしてメニューは明太子に変更された。単品だと刺激が強すぎて食べながら朝を迎えてしまいそうなので、うどんとあえることにした。

 夜更けのラーメンが美味(おい)しいとはよく聞くが、食欲のブレーキがなかなか利かないのも真夜中の魔法なのかもしれない。

 レンジでほかほかにした冷凍うどんにバターを添えて、明太子を加える。シンプルイズザベスト。やめられないとまらない美味しさだ。

 あぁ、太るなぁ。カロリー消費を気にしながら長く歩いたあの距離も、そしてジムで踏ん張ったトレーニングも体重減少に反映されないと嘆きつつも、箸をおけない。

 小腹を満たすどころか腹いっぱい。完食したら遅れてやってきた眠気とともに、夢の中へ。自らの不摂生を季節のせいにしたくなる食欲の秋である。
(金城奈々絵、ラジオ沖縄アナウンサー)