<南風>人を動かすテーマの力


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 テーマとは面白い。想(おも)いが込められ、共感された瞬間、人を動かす力となる。

 ハワイ沖縄連合会は、毎年、就任した会長が1年のテーマを掲げることになっている。昨年、夫(マーク比嘉)が会長を務めた際に掲げたテーマは、「染(すみてぃ)」。これは、てぃんさぐぬ花の歌詞、「親の言うしぐとぅや、肝に染みてぃ」という部分から来たものだ。「これまで、1世、2世、3世と受け継がれてきた教えを受け、今度は、私たちが次の世代へどう染めていけるのか」という問い掛けが、このテーマに込められた。

 「染」を掲げて以来、多くの人がテーマにまつわるストーリーを共有してくれた。その中の一人の女性が、「染」に共感し、自身の結婚50周年パーティーのテーマとした。50年前、ウチナーンチュの母親から彼女に送られた詩には、結婚生活をうまく長続きさせる秘訣(ひけつ)がつづられていたそうだ。

 それは、彼女にとっての人生の教えとなり、この教えを、今度は自分の子供、孫たちに染めたいという想いがあった。そのストーリーは、また、私たち夫婦をも染めた。

 今年のハワイ沖縄連合会会長、トム山本さんのテーマは「いちまでぃんラウリマ」。ラウリマとは、ハワイ語でユイマールと同じ意味合いを持つ。そのテーマに動かされるように、ハワイ沖縄連合会は、さらに一丸となって盛り上がっている。世界のウチナーンチュ大会にはハワイから1800人が参加する予定である。

 今年の世界ウチナーンチュ大会のテーマソングは「結~心届く~」。

 テーマは、時に、私たちの人生のモチベーションとなり、原動力となることがある。来週から開催される世界のウチナーンチュ大会。『結』を意識して体験するのも面白そうだ。
(比嘉具志堅 華絵、ハワイ沖縄連合会会員、『SHINKA』副会長、1級建築士)