<南風>オリンピズム


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 最近、情報番組で東京都の話題が頻繁に流れています。築地市場の豊洲移転の問題や東京オリンピックの話題が報じられています。私たちの想像もつかないほどの多額な予算が議論を呼んでいます。

 シドニーオリンピックを選手、リオデジャネイロオリンピックをコーチとして経験しましたが、東京都が国際オリンピック委員会や日本オリンピック委員会と調整するように、開催国は相当な時間や予算を費やし、準備をしたのだと思います。

 さて、そのオリンピックの始まりですが、誰が、どのような目的でスタートしたのでしょう? それは、フランスのクーベルタン男爵が文化や教育、スポーツを一つにして努力の喜びを生きがいにしながら人間形成し、平和な社会をつくっていこうという思いから始まったのです。

 その活動をオリンピックムーブメントといって、たくさんの活動の中の一つとしてオリンピックがあります。オリンピックムーブメントは、差別もなく友情・連帯・フェアプレーの精神を理解して青少年を教育しようと。国同士の競争ではなく、スポーツで競い合って優れた者をたたえる場なのです。

 シンボルマークの五輪は世界の5つの大陸が仲良くなることを意味しています。開催期間中、各国の選手と共に同じ場所で生活を行うことによって食事や交流で友情を深めることにもつながる、選手村の意味もそこにあるのです。

 しかしながら、現在のオリンピックは、ドーピングやテロ問題があり、政治的なアピールや商業的な利益目的になっている場合もあり、本来の目的から離れつつあります。スポーツを通して世界中で輪を築いて平和な社会をつくり、国の隔たりがない優れた選手をたたえるオリンピックであってほしいと願います。
(平良真理、沖縄工業高校ウエイトリフティング部顧問)