<南風>トランプ次期政権と在沖基地


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 9日、過激な発言で米国民の注目を集めたドナルド・トランプ氏が事実上の次期米大統領に決まりました。5月4日に主要な候補者が選挙戦から全て撤退したため、同氏が共和党の候補となった時点でのこと。駐留米軍を撤退させる可能性に触れながら、同盟国に負担増を求める考えを示してきたトランプ氏が「全額負担」を要求する発言を行いました。

 私は今年6月、この発言を米軍はどう受け止めているのか、米軍の準機関紙「星条旗新聞」のベテラン記者に取材するため、沖縄を訪れました。東日本大震災での災害救助・救援などを行った「トモダチ作戦」の中、福島第一原発事故による放射線被ばくをした米兵を取り上げた記事に関するインタビューがきっかけで知り合った人です。

 質問内容は、もしトランプ氏が大統領となった場合、日米地位協定が見直されることはあるのか。その際には、沖縄の基地負担が軽減され、現在の辺野古への米軍基地移設問題や高江のヘリパッド建設問題が解決の方向に向かうことがあるのかをうかがいました。

 直接米軍関係者ではないため私的コメントでと前置きした上、「過激な発言をして米国民の関心を引くパフォーマンスを繰り返すトランプ氏ではあるが、もし、彼が大統領となることがあれば、前言を撤回することになるだろう。それは、政治の世界や軍の世界に身を置いたことがない彼が、これまで知り得なかった情報や真実を知ったとき、現実的対応をせねばならないことに気付くであろう」という話でした。

 しかし、私は望みます。自国、他国の垣根を越え、軍隊は縮小すべきです。そのためにも、基地移設など沖縄に対する米軍の負担を軽減することこそ、日米の信頼関係を再構築できる機会となりうるのではないでしょうか。
(木村真三、放射線衛生学者)