<南風>減量との格闘


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 教え子が、久しぶりに全国レベルの大会にエントリーしました。社会人として仕事をこなしながら10キロ近く減量しての挑戦です。

 大会をきっかけに自分を高めたい気持ちが彼女にあふれ出ていました。リオオリンピックに刺激を受けたのでしょう。階級制競技は体重の減量や増量がついてきます。ウエイトリフティング競技は、競技開始時間の2時間前に検量があります。体重のオーバーや不足があった場合は再度、検量を行うことができます。

 しかし、1時間で規定内の体重に達しなければ、失格です。私も現役時には6キロ弱の減量をして、国際大会に挑んでいたので減量の難しさを知っています。摂取しなければ体重は減りますが、パフォーマンスを維持しながら減量しなければいけません。大会2~3週間前から食事の量を少しずつ減らしますが、残り6~700グラムから体重の変化が見られなくなります。

 私の場合、大会3日前から1日にフランスパンと200ミリリットルのヨーグルトか200グラムの野菜スープだけの日が始まります。摂取した分さえ減らなくなるので200ミリリットル以上口にすることが怖くなります。大腿(だいたい)部やウエストも小さくなり、力を入れたい筋肉の反応が鈍くなっていきます。

 最後は、ガムや梅干しなどで意識的に唾液を出して体重をリミットまで絞り、検量を迎えます。コップ1杯の水を飲んで冷汗をかく夢を見ました。減量中はとにかく体に熱がこもり、体温が高く寝付きが悪くなるのでベッドではなく、その下のひんやりした場所に寝ることもありました。

 当時は検量後に点滴でブドウ糖を投与し、減量の影響を抑える外国選手もいました。最近の私は基礎代謝が悪くなり体重が増える一方なので、教え子の減量を見て選手時代を思いだし、ボデーィメイキングを始めようと思っています。
(平良真理、沖縄工業高校ウエイトリフティング部顧問)