<南風>アナウンスの法則


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 かつての自分に教えられることがある。仕事をする中で、定期的に取り出し、目を通している「アナウンスの法則」を読み返すと、身が引き締まる。

 入社当時、東京でアナウンス研修を受けた私は、2日間で教わった内容を研修報告書として社に提出した。発声・発音トレーニングなど、研修から得たポイントなどをアナウンスの法則として10項目にまとめていた。

 例えば「大根の法則」。日本語には「文のはじめは高く、文の終わりは低く読む」というイントネーションの特徴がある。この法則を図式化すると、寝かせた大根に似た形になり、この法則にそぐわないような文の途中で「しゃくりあげた読み」はしないように注意するのがポイントだ。

 また「飛行機の法則」。ニュースを読む時はゆっくりと読み始め、離陸する時の飛行機のように徐々にスピードを上げていく。読み終える時は飛行機が着陸するようにゆっくりと音を下げる。

 一番印象に残っている法則は「言葉の海に漬かる」。アナウンサーは言葉のプロ。プロであり続けるために、新聞、本、雑誌などあらゆる文献に目を通すことが大切だと教わった。

 講師から「次は自分自身がメディアの中の文章、単語を読む番になるという意識を持ち、どんな言葉も言い慣れていないといけない。そのためには、言葉の海に漬かり、アクセント辞典で音の高低差を確認すること。アナウンサーとは、『ただ読む人』ではなく、言葉の意味を理解し、理論値に近い音を出せる人だ」というアドバイスを頂き、読み手の責任を感じた。

 ラジオは音声のみで情報や話題を伝えるメディアだ。だからこそアナウンスの法則を心に留めて、一音一音にこだわってマイクの向こう側のあなたに情報を伝えていきたい。
(金城奈々絵、ラジオ沖縄アナウンサー)