<南風>違いを認め合う力


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 「人間関係は面倒だな」「できれば、人に気を遣わずに自由に生きたいよ」。誰もが人と分かり合いたい、良い関係を築きたいと願っているはずだが、思惑通りにいかないこともあり、心を悩ますことがある。良好な人間関係はたやすく築くことはできない。

 しかし、人とうまく関わる力、すなわち、コミュニケーション能力は持って生まれた才能とは違い、トレーニングによって誰でも身につけられるものでもある。

 コミュニケーション能力という言葉には、人の話を的確に聴く、自分の考えを表現する、分かりやすく説明するなど、いくつもの要素が含まれている。その中でも重要視したいのが、互いの違いを認め合う力だ。

 他人と付き合う上で大切なのは、相手に対する思いやりだというのは異論がないところだ。しかし、相手をよく知らない「思いやり」は時として押し付けになったり、知らずに傷付ける行為になったりする。

 相手をよく知る最良の手段は「対話」である。お互いが何を考え、何を感じ、何に価値を認めるかをとことん話し合う作業(対話)を通して、自分と相手の差異に気付くことができる。相手をよく知ることができれば、相手にとって必要な思いやりを示すことが可能になる。

 ただ、自分の意見を言うことに抵抗を感じる、人と対立することを避けようとする傾向にある人は「対話」がうまくいかないようだ。その改善策として実際の場面を想定した練習を重ねることが有効だろう。その上で、実生活で生かすとよい。

 コラムを担当させていただいた半年の間、知人、友人を始め、読者の方からもさまざまな感想やご意見を頂戴(ちょうだい)し、私が主宰する講座を受講してくれた方もいた。コミュニケーションスキルに関心を寄せてくださった皆さまに心から感謝を申し上げたい。
(吉田文子、コミュニケーションカウンセラー)