<南風>沖縄と大正区 二つの「シマ」に幸あれ


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 コラムも最終回。力不足で今まで書ききれていなかったことをご紹介します。

 大正区の沖縄出身者の「世界一」。ロス五輪体操金メダリストの具志堅幸司さんは大正中央中学卒業生で父上が名護市出身。プロボクシング第五代WBO女子世界ミニフライ級王者、池原シーサー久美子さんは大宜味村がルーツで大正区生まれの3世。4度の防衛を重ね今月引退、別の格闘技でも世界を目指します。リング入場曲は「ヒヤミカチ節」で私も一緒に演奏しました。夫である出花崇太郎さんもコンバットレスリング世界王者、世界一強い夫婦です。

 大正区では音楽による活性化にも取り組み、区長の私自らPRソングを作詞作曲しCDも制作、ビクターに楽曲提供もしています。大正区での与那原大綱曳実施の際に作ってCD化したテーマソング「ヨナバル・ドリーム」は名曲です(笑)。

 地方創生には、人とお金に地域を素通りさせず、エリア内で循環させることが不可欠。沖縄には、20世紀初頭から、地元の林産物の出荷・販売で利益をあげ、山原船も所有し、水道等インフラ整備や事業資金貸付、福祉事業まで実施していた集落共同事業の共同売店「奥共同店」等の成功事例があります。

 「ユイマール」で強力なコミュニティーと地域経済を作ってきた共同売店。これをモデルに、外部から来てエリア内に新たに出店する店舗とも連携し、観光イベント等の来訪者の消費も逃さない工夫をすれば、地域住民・新規参入者・来訪者で栄える「異和共生」地域経済が可能。大正区でも目指したいと思います。

 連載中、何人もの方に「コラム読んでるよ。頑張って」と声をかけていただきました。心より感謝申し上げ、来年が沖縄・大正区の二つの「シマ」と、読者の皆さまにとって幸福な一年となることをお祈りいたします。
(筋原章博、大阪市大正区長)