<南風>「チーム沖縄」としての自覚


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 県空手道連盟の選手強化委員長国体監督を任せられて10年になる。世界大会覇者の喜友名諒、金城新、上村拓也選手らが「チーム沖縄」の一員として活躍し、選手層の厚い形種目は本県のお家芸として国民体育大会の得点源となっている。

 本県が目指す国体30位台を達成するためには、団体種目の上位入賞が必要となる。私が国体監督として最初に取り組んだことは、チームスタッフの充実だ。空手発祥の地に恥じぬよう、各流派・高体連から経験・指導力を持ったコーチ陣を集め、未来を見据えてチームワーク強化に努めた。

 私は、地元開催の2010美ら島全国高校総体を前に中学校から高校に転勤した。当時、形は上位入賞するが、団体組手は1回戦も勝てない状況でレベルアップが大きな課題だった。小学生からタレント選手を発掘し、強化選手に意識を持たせることから始めた。一貫指導体制の下、「日本一」を目標に掲げ、長期スパンで強化に取り組んだ。「いつでも、どの選手にも」コーチングを行える練習環境を整えるため、勤務する前原高校に拠点を置き、指導した。

 コーチ陣が一丸となって情熱を注ぎ、高校生を中心に積極的に大学生、社会人も参加する国体強化練習に参加させて、経験を積ませた。自信を持たせ、全国・世界で戦える選手育成を図った。全日本選手権団体戦などへの高校生起用には反対もあったが、「必ずこの選手は数年後活躍する。我慢の時だ」と説得した。2015年は国体、全日本選手権で優勝候補の東京都に勝利し3位、国吉真太郎選手は個人組手で3位入賞し、県勢初の快挙を達成した。

 全国高校総体で約30年ぶりの男子団体組手5位、男子個人組手3位、女子個人組手5位に入賞するなど競技力が向上している。「さすが本場」と言われるように、形も組手も強い沖縄空手でありたい。
(田村正人、県空手道連盟強化委員長、県立前原高校教諭)