<南風>中山良彦先生の教え


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 「プロデューサーは『プランナー』『ディレクター』『コーディネーター』『マネジャー』かつ『アジテーター」であること」

 昨年末、91歳で他界された沖縄を代表するプロデューサー中山良彦先生の教えでした。1993年から96年まで「沖縄県平和祈念資料館」の基礎調査・構想・計画を沖縄ノムラで受託し、統括を務めた私は、中山先生のご指導の下で、乃村工藝社の仲間と共に事務局として取りまとめをさせていただきました。

 「物事を進めるにはビジョンと目的が大切であること、実現には多様な関係者がひざを突き合わせてじっくり話し合うこと、少数の声を埋もれさせないよう納得がいくまで話し合うこと、関わる人すべてが当事者となり担い手となるように意図すること」など、今の私の仕事のスタイルのほとんどは中山先生から学ばせていただいたものです。

 先生がみんなの意見をまとめるために使っておられたKJ法を学びたくて、創始者である川喜田二郎先生の研究所をお訪ねしたのも「物事の本質に至るには核心に飛び込め」という教えを実行したのでした。

 先生の展示に対する姿勢も見事でした。感傷や感情を挟まず、徹底して事実にこだわり、事実の羅列のなかから見る人の自由な発想を促そうとしたのです。20年以上も前に、多様性を認め合う世界を描いておられました。あぁ、あの話もこの話も録音しておけばよかった。悔やまれます。

 先生からいただいた学びを継承すべく、今、わが社は「沖縄離島体験交流促進事業」を活用して、沖縄をプロデュースする人財の育成を試みています。本年度は約3800人の児童を19離島へ派遣した当事業は、児童の育成と離島の活性化を支援するうってつけの実践の場です。組織からの短期中期の出向も受け入れます。一緒に学びましょう。
(開(比嘉)梨香、カルティベイト社長 沖縄海邦銀行社外取締役 元沖縄県教育委員長)