<南風>子どもの貧困(2) 大魔王を倒すには


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 先週末、関東で開催された子どもの貧困対策の研修に参加し、多くの学びと出会いを経験した。研修は、国の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」策定に関与した団体が主催し、全国から子どもの貧困関連の支援に携わる個人、団体から60人ほど集まった。

 参加者の多くは、主に地域で子ども食堂や学習支援を実施したり、若者の引きこもりや不登校の子どもたちをサポートしたりしている人たちで、現場でさまざまな課題を抱えていた。

 講師陣は子どもの居場所づくりに長年経験と実績を積んできた団体、地域連携を成功させたNPO、経営戦略を立案するためのサポートやファンドレイジング等の組織を支援する法人の各代表と、貧困問題をメディアを通して取材発信する記者だ。彼ら彼女らの持つ情報量と課題解決に導くアイデアのボリュームに、私たち受講者の頭の中はヒートアップし続けた。特に衝撃的だったのは、「NPOの存在意義(社会的成果をきちんと生み出しているか?)」を問われた時だった。

 取り組もうとしている課題は多様だ。「どんな問題構造になっているのか」「どうすれば問題解決するのか」「自分たちは何を担い何を他に任せるのか」「どんな成果をどれだけ創出するのか」「そのためにはどんな資源がどれくらい必要なのか」「どのようにして資源を調達するのか」「どんな組織にするのか」「どう実行するのか」

 これらの問い全てに論理的に答え、活動の成果を社会的に評価しようとする試みが、実は子どもの貧困をなくすための活動を自己満足で終わらせず、自分たちの使命と立ち位置を客観視し続けるために必要不可欠であることを学んだ。

 「ただ、目の前の子どもたちの笑顔を見たい」という志だけでは、貧困を生む大魔王は倒せない。それを肝に銘じた3日間だった。
(秋吉晴子、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)