<南風>母校愛・地域愛


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 母校の前原高校が2015年に創立70周年を迎え、記念式典、祝賀会が盛大に行われた。1945(昭和20)年、高江洲小学校の一角を借りて前原高校が開校され、58年に現在地に移転し、地域から歴史と伝統ある名門校として親しまれ、信頼される学校である。

 しかし、生徒の価値観の多様化、社会の変化や校区制のあおりを受け、赴任当初の母校は生徒指導困難校に変容し、地域からの苦情、問題行動で指導を受ける生徒が多く、学校への愛着が見られない状況だった。

 「学校に目を向けさせなければならない」との思いから本校出身の校長、職員で話し合いを持ち「生徒指導の改革」を始めた。学年ごとに担当を配置し、ゆっくり・じっくり・粘り強く親身になって教育相談や積極的な生徒指導を行った。学校を変えるには、部活動の活性化が必要とも考え、毎年の活動テーマの一言を決め、2008年の「勢」から始まり本年度は「結」で気持ちを一つにまとめている。

 地道な取り組みが実を結び、県高校総体で男女総合8位入賞、空手道部が総合優勝、卓球部の完全優勝、吹奏楽部の金賞など、各部活が切磋琢磨(せっさたくま)し「やればできる」雰囲気となり、進路指導面でも総合スポーツクラスが4年連続で決定率100%を達成し「チーム前原」へと覚醒している。野球の応援では全部活生が応援練習し、スタンドが大応援団で前高カラーに染まり、全員で校歌斉唱する姿に誇りを感じる。本校の校歌には「教学一如」(人を育てようとする努力が、学ぶ意欲に火を着け、お互いに自分自身を向上させていく)、師弟愛、「肝高」(心豊かで気品高い)の歌詞があり文武両道の精神が受け継がれている。

 卒業する3年生へ。「皆さんとの出会いは本当に素晴らしく有意義でした。共に過ごせたことに感謝」。これからも母校を愛し、肝高の心を胸に、未来へ旅立て。
(田村正人 県空手道連盟強化委員長、県立前原高校教諭)