<南風>手を通して伝わる思い


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 半年ほど前に育休を終えて仕事に復帰し、気付けば汗だく、いっぱいいっぱいな毎日を送っております。

 夕方、帰宅後も戦闘モードで動き回っていると、1歳5カ月になる息子がもみじまんじゅうより小さな手で、私の指をぎゅーっと握ってくれ、肩の力がふーっと抜けていきます。まだ話せない息子ですが、手でたくさんのことを伝えてくれます。

 仕事に向かう私に元気よく手を振ってくれたり、何かをもっと食べたい時、指先をトントンと合わせて、もっとの意思表示をしたり…。最近のブームは、もう一回とおねだりする時、人差し指を立て、その指をズボッと鼻に入れ猛アピールすること。笑いをこらえるのに必死な毎日です。

 もちろん、そのかわいい手で、食事時には納豆をつかんで頭からかぶってみたり、みそ汁をお椀(わん)ごとひっくり返してみたりと、手を焼くこともしばしばありますが…笑。

 子育ては、抱き、おむつを替え、ごはんを作り、しっかりとつなぎ、手でたくさんのことを交わし合っていくんですね。そして、周囲の人たちが温かい手を差し伸べてくれるから、大変でも笑って日々を過ごしていけるのだと感謝しきりです。

 ところで、こうして考えてみると“手”の慣用句の多いことに気付かされます。

 頭に浮かんだことをもう一つ―私は家事の手抜きのプロです。部屋の隅でほこりが舞っていても見て見ぬふりができますし、部屋の数カ所に私の脱ぎっ放しコーナーがあります。ここまで来たら自慢しちゃえ!という気分です。

 閑話休題。家事は手抜きしつつ、少しずつ厚みを増していく息子の手を取り、その手から伝えてくれることは逃さず感じ取っていきたいと思う、新米母なのでした。
(平良いずみ、沖縄テレビアナウンサー)