<南風>奨学金制度が変わる!?


社会
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 3月31日付で文部科学省のHPに「奨学金制度の充実に関する松野文部科学大臣からのメッセージ」が掲載された。これによると独立行政法人日本学生支援機構法の一部が改正され、給付型奨学金制度が創設されるとともに無利子奨学金の充実を含む大学等奨学金事業の大幅な拡充が図られたという。しかし、改正の中身をよく見ると文科相の力のこもったメッセージとは少し違っている気がする。

 まず、給付型が創設されたが、これを受けられるのは住民税非課税世帯の生徒と児童養護施設退所者であり、それぞれ高い学習成績と特定分野における特に優れた資質能力が必要とされ、高校からの推薦が要件となっている。給付額は国立の場合、自宅外は3万円、自宅が2万円で、私立はそれぞれ1万円ずつ高くなる(児童養護施設退所者には入学一時金24万円が支給される)。しかし国立大学の授業料免除を受けた場合は給付額が減額される。また、進学先での成績や態度が著しく不良だとされると、給付金の返還を求められる規定が設けられた。

 一方、従来の貸与型奨学金の第1種(無利息)では、非課税世帯では3・5以上の成績基準が廃され、進学先が決まっていなくても3年生の4月以降であれば高校の先生に予約採用として申し込むことができるようになった。返還方法としては、所得に応じて返済額が変動する所得連動返還方式が選べるが、その場合、保証制度として人的保証ではなく機関保証を選ばなくてはならず、毎月の奨学金から保証料が差し引かれる。

 大臣は「新学期を迎える生徒の皆さん、保護者の方々へ」として「誰もが将来の夢に向かってチャレンジできる社会」「家庭の教育費負担の軽減」を謳(うた)う。が、給付型の対象は限定的で新たなリスクもあり、依然、進学へのハードルは高い。

(秋吉晴子、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)