<南風>指導者の役割


社会
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 私は、国体強化選手、コーチを経て現在県代表監督として「チーム沖縄」を率いている。代表監督になるには「日本体育協会公認スポーツ指導者制度」の指導員、上級指導員、コーチ、上級コーチの有資格指導者(コーチ以上)が必須条件となってくる。県内外で研修を受け、共通科目(152時間)専門種目(60時間)を経て資格試験に合格しなければなれない。

 学校現場では、少子化による運動部活動の減少や、指導教員の高齢化、男女間のバランスなどによる指導者不足で、運動部活動が機能低下している。多くの青少年がスポーツ離れする傾向があり、活性化を図ろうと運動部活動指導員が導入されるようになった。

 運動部活動指導員は、地域のクラブチーム指導員とは違い、教育的配慮の必要な生徒、各学校の特性を理解した上で、学校長管理の下、日々、生徒・顧問教諭・保護者との信頼関係を構築し、教育の一環として「望ましい部活動のあり方」や健全育成に取り組んでいる。指導員の皆さんには心より敬意を払いたい。

 「厳しさこそがスポーツ」という風潮は否めない。指導者が情熱を注ぐあまり体罰や言葉による暴力などが起こり「スポーツ離れ」「スポーツ嫌い」など、燃え尽き症候群の選手に育てていないか気になるところである。

 指導者も一人の人間であり、特性やタイプがある。スポーツを心から愛し、情熱を持ち続けることが重要である。単に、技術・戦術の指導に優れ、勝利主義だけでは信頼される指導者にはなれない。常に自己研鑽(けんさん)を図り、自ら成長・発展し、周囲から尊敬・信頼される人間「指導者」であることが求められている。あくまでも「選手が主役」であり、スポーツマンとしての資質を育て仲間への思いやりや協調性、ルール、マナーを尊重できる選手を育成する指導者でありたい。
(田村正人 県空手道連盟強化委員長、県立前原高校教諭)