<南風>神戸に呼ばれて


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 神戸は3日続きの雨、今日も靄(かすみ)が立ち込めて遠くの景色は霞んでいる。そんな神戸で久利計一氏を代表とする三宮商店街のイベント、沖縄GOGOハイサイフェアが行われた。

 2年前に今日の日の招待を受けていた私たちはいよいよ4月7日、神戸行きの飛行機に乗った。私たちというのは、私、娘、孫の宗真である。その日、宗真は5年生の始業式で、それを終わらせて空港へと向かった。宗真は人生2度目の飛行機体験。2泊3日の予定で雨の神戸に着いた。宗真のリュックには10年連れ添って添い寝している縫いぐるみのクマさんが大切に入れられ背負われている。

 空港に出迎えてくれた岡田宏二氏に伴われ、6時スタートの前夜祭に案内された。沖縄から40人ほど招かれていて、その錚錚(そうそう)たる顔ぶれに神戸と沖縄の友好関係を取り持つ久利氏の思い入れが伝わった。久利氏はKOBE三宮・ひと街創り協議会会長であり、施設で生活を強いられている神戸の子供たちを、12年前から沖縄に招き平和学習や沖縄体験なども手助けしている。

 今年私たちが神戸に招かれたのは、三宮商店街に故國吉清尚の作品が永久展示されることになったからである。式展の後、早稲田大学の丹尾安典教授が「作陶の貴人・國吉清尚」と題し話をしてくれた。生前の國吉を知らなかった人たちがその作品と出会い、魅せられ虜(とりこ)になっていく。作品の持つ力を説いてくれた。

 言葉も説明も要らない、感じる人のみが知る不思議世界を彷徨(さまよ)う人たちがいる。自らを國吉作品ストーカーと称し皿や徳利・碗などを探し全国を飛び歩いているK氏。久利氏、丹尾教授、沖縄からこのイベントのために来てくれた心からの國吉ファンの友人たち、我々(われわれ)は皆國吉の作品の引き寄せで雨の神戸に集まって来ていた。土くれに 宿る魂 永遠に

(國吉安子、陶芸家、「陶庵」代表)