<南風>異文化って面白い


社会
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 初めて海外に行ったのは中学2年の春休み、米国サンディエゴへの短期ホームステイだった。本場のハンバーガーの大きさに驚いたことや、なぜか「今シャワーを浴びてもいいですか?」という英語を一生懸命覚えたことを今でも覚えている。ホストファミリーはフィリピン系の家族で、家の中では聞いたことのない言語が飛び交い、アメリカは多様な民族からなる国だと肌で感じた。

 久米島町は、ハワイ州ハワイ郡コナと姉妹都市関係にある。どちらにも海洋深層水の取水施設があることから、2011年に提携を結び、クリーンエネルギー開発に向けた研究協力や人材交流を進めてきた。

 その一環として今年5回目を迎えるのが、高校生の交換留学だ。選考を通過した3人の久米島高校生が、夏休み中の約3週間、ホームステイをしながらコナの高校へ通う。費用の9割は、町出身の事業家からの寄付で設立された基金で支援される。

 参加した生徒たちがまず驚くのが、現地の高校のオープンな雰囲気。制服もなければ、ホームルームもない。授業中はどんどん発言し、先生とも対等に議論する。日本の高校との違いに初めは気後れしていた生徒たちも、慣れるにつれてハワイと日本それぞれに良いところがあると気づく。また観光振興、文化や言語の継承など沖縄と共通の課題についても、ハワイの取り組みを目の当たりにして多くを感じ、学んでくるようだ。

 私の場合、中2のときに体験した「異文化を知るって面白い!」という思いが、その後の大学留学、国際協力の仕事へとつながった。子どもの頃にいかに多様な経験をするかが、その子の将来を左右する。今は離島地域にもさまざまなチャンスが用意されているので、子どもたちにはぜひ積極的にチャレンジしてほしい。
(山城ゆい、久米島高校魅力化事業嘱託員)