<南風>古酒は沖縄文化の至宝


社会
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 一昨年の10月に泡盛新聞を始めたことで、しっかりと泡盛と向き合えるようになった。

 それまでボクは泡盛を愛していると公言していたが、それは単に焼酎やウィスキーよりも、泡盛を飲むことが好きだっただけにすぎず、泡盛と向き合うことでより泡盛が好きになり、泡盛の作り手や販売する人たち、県内外で泡盛を愛してやまない人たちなど、泡盛に関係しているモノや人たちをすべて敬愛することができるようになったのである。

 ところで、今の泡盛は昔に比べるとスッキリとまろやかで甘い香りがあり、泡盛ビギナーや苦手という人たちも美味(おい)しく飲めるようになった。しかし、泡盛はその美味しさに目覚めると、だんだんクセのある泡盛を求めるようになり、なぜか昔ながらの風味の泡盛が飲みたくなるのだ。さらに極めると古酒が旨(うま)いと思えるようになる。

 話は変わるが、泡盛マイスターで久茂地で古酒バーを経営している友だちが、「泡盛には人と人とをつなげる力があり、古酒を飲む人たちはじっくりと楽しむ人が多い」という。いわば、泡盛は仲間とのコミュニケーションを楽しむ酒であり、古酒は酔うことよりもその美味しさを味わう大人の酒だということである。

 ボクがなぜ泡盛新聞で泡盛を広めることに一生懸命なのかといえば、世界中の人たちに泡盛を知ることで、最終的に古酒の美味しさを知ってもらいたいからである。古酒は知れば知るほど飲めば飲むほど奥が深く、ボクは古酒こそ沖縄文化の至宝だと思え、いろいろな古酒を飲んでみたいと思っている。

 ボクの夢は世界の人に古酒の旨さを広め、そして悠久の時間の中から生まれた古酒の馥郁(ふくいく)たる香りを嗜(たしな)む、そんな飲み方ができる立派な大人になることである(年齢的には充分大人なんだけどなぁ)。
(嘉手川学 沖縄ふうどライター、沖縄泡盛新聞編集委員)