<南風>雑草と観葉植物


社会
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 学生をどう育てるかという話の中で「教員は雑草、学生は観葉植物」というワードが出てきた。その言葉を聞いた時、雑草に対してネガティブなイメージがあった私は複雑な気持ちだった。

 通勤途中の信号待ちで「雑草と観葉植物」の言葉が頭をよぎり、雑草を観察してみた。壁をぶち破り自己主張している雑草。仲間と一緒になって堂々とまっすぐ伸びている雑草。それぞれ個性があった。雑草の隣に仲間がいる。一方、観葉植物は、恵まれた環境のもと綺麗に咲いている。見ていると贅沢(ぜいたく)な気分になる。でも何か物足りなく寂しい。

 学生の頃「主体性を持ち学びなさい、目的を持って行動しなさい」とよく言われていた。主体性? 目的?私はST(言語聴覚士)としての芯が持てず、ふわふわしている時期が長かった。あの頃は今にも増してST不足が深刻だった。先輩の元を離れ、自立をする転機が訪れた。一人職場になった時、守ってくれる環境や人がない。自分で環境をつくっていくしかなかった。

 そこから私の雑草道、STとしてのサバイバルが始まった。今、私の周りには自分の夢をかなえるために必死で外の世界に飛び出そうとしている観葉植物(学生)がたくさんいる。雑草(私)は、若い観葉植物(学生)から繊細さや純粋さ、初心、新しい風に刺激を受けることが多々ある。新しい価値観を受け入れ、寄り添い、時には突き放し、転んでも自分の力で起き上がることのできる土台作りの手助けをすることが私のミッションである。

 雑草から学ぶ人間力。雑草のように、自分の居場所は自分でつくり、その場所にしっかりと根を張っていく。一回きりの人生。豊かに自分らしく。

 STの仕事であなたの夢をかなえてみませんか。7月29日にオープンキャンパスが開催されます。居場所を見つけてみませんか。
(平良和、沖縄リハビリテーション 福祉学院教員、言語聴覚士)