<南風>信じると信じ合う


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 夏休みが始まる7月下旬。ちょうど5年前に「海外と沖縄の青年が年に一度集結する若者の祭典」と称し、「第1回世界若者ウチナーンチュ大会」をブラジルで開催した。世界7カ国10地域から若者164名が集結し、文化、スポーツ、歴史、会議を通して交流を深めた。

 来年で第6回を迎える大会だが、第1回大会を作り上げる裏には、地道で試行錯誤の日々の連続ばかり。企画期間は半年間。ブラジルに行ったこともなく、ノウハウもない中、多くの方から海外での大会開催は無理だと言われた。

 ブラジルの若者とコミュニケーションを取り、企画や準備の調整。企業を回りスポンサーを依頼するが、資金が集まらず、新聞には「若者資金難」と大きく記事が掲載。本当に各国から参加者が集まるのか、企画は大丈夫かなど大会初日を迎えるまで、不安ばかりがあった。

 一方で、可能性を信じ、応援してくださる方々の存在やブラジルをはじめ各国の若い世代のリーダーたちの存在は心強くて頼もしかった。私が出会った数十名のリーダーらが、母国の若者を巻き込み、第1回大会開催に想(おも)いを繋(つな)いでくれた。出会いが、渦を巻き起こし、世界に広がっていくのを感じた瞬間だった。

 彼らには彼らなりの悩みや課題があるが、国境を超え、言葉が通じなくとも、一つの目標に向かって「できる」と信じ、そしてお互いの可能性を「信じ合う」ことの大切さ、達成という希望に向かって、一歩一歩の努力を重ねる私たちを信じて応援してくださる方々の存在の大切さを教えてくれた。

 自分の可能性を「信じる」。そこに家族や仲間など相互関係が生まれると「信じ合う」。信じ合う想いは強い結束を結んでいくと感じる。

 日々、「信じる」ことを忘れず、「信じ合う」関係をこれからも築いていきたい。
(玉元三奈美、世界若者ウチナーンチュ連合会代表理事)