<南風>企業とは


社会
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 人生一切皆苦と、釈迦は、言う。人は、生まれ老いて病になり死んで行く。人生は、会いたくない人に出逢い、愛する人と別れ、求める物は得られず、際限無く満たされず苦なりと、釈迦は言う。

 私は、全てを常理と認め、しっかりと生きて老いて死んで行きたい。

 閑話休題、企業とは。

 それは、私物では無く社会の公器である。且(か)つ、人や社会に役立つものでなければならない。何かでは無く何を為すべきかが、企業の存在理由である。それを示して、人や社会に貢献するのが本来の姿である。

 必要とされるものは存在する価値があり、必要とされなければ消えていくだけである。

 私は、弊社の存在理由を作ることから始めた。一番に社会貢献を目的にした。二番に、創っては壊す建設業から脱却し自然との共生を唱えた。三番に、顧客第一主義の集団で在りたいと、人に尽くすことを誓った。

 然(しか)し、社会を構成する最小の単位はひとりの人である。然るに、先(ま)ず人に尽くす存在で在りたいと考えを改めた。そして、自然を破壊せず、社会に貢献することを現在の企業理念としたのである。

 建築に思いを寄せたとき、建築物は、内包する人を守る器である、ということが必要最低条件である。そして、心地よくなければいけない。また、美しくなければ存続しない。人を守り、心地よく、美しい確かな品質の建物を造ることが、建築理念である。

 夢がある。多くの利益を出して、社員やその家族を物心共に豊かにし、大きく社会に貢献した日本国を代表する企業に成る。

 理念と夢を北の空に置き、今日も船を進める。

 我が行く道に荊(いばら)多し

 されど生命の道はひとつ

 この外に道なし

 この道を行く実篤

(東恩納厚、東恩納組代表取締役会長)