<南風>「特別な」夏休み


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 夏休み真っただ中、元気に遊んでますか。我が家の小学生2人も、海に山に祭りに料理に水泳にやんばるに名古屋に駆けずり回って遊んでいます。ふだんの生活とはちょっと違う「特別な」「自分だけの」体験ができるのが夏休み。日常生活の枠から少しはみ出る冒険チックな世界が待っています。まぁ我が家は子供より私が出かけたくてウズウズしているんですけどね。

 私の夏休みの思い出といえば毎年夏に行くボーイスカウトのキャンプ。4泊ぐらいで海や山でテントを張り、かまどをつくって薪(まき)で米を炊く。時には生きた鶏をさばいて料理したことも。ナタを振り下ろす前、鶏の悲哀に満ちた「ヤメテクレヨ!」な目を見たときは心をかき乱されましたが、空腹には勝てませんでした。当たり前に食べていた唐揚げが一つの命から捧(ささ)げられたものであることを実感した瞬間でした。また大雨の中でのテント生活はまるで池の中、寝袋から茶色の泥水が滴り落ちたときは泣きそうなくらい不快でした。

 しかしこれらの「特別な」「自分だけの」経験から得たものは生きる知恵や術となって今に生きています。人間は他の生命の犠牲の上に成り立ち、自然の猛威に翻弄(ほんろう)されるちっぽけで頼りない存在であることをいつも心の中に留めています。楽しかったことよりちょっと大変、ちょっと不便な体験こそが夏休みの醍醐味(だいごみ)かもしれませんね。

 思いっきり楽しんだ後に残るのは宿題。特に自由研究は最後まで手付かず。「自由っていわれてもなぁ」と嘆いたことを思い出します。そんな経験から生まれたのが「夏休み親子わくわく自由研究」。沖縄が世界に誇る「組踊」で自由研究してみませんか。オリジナルの研究ノートを元に一流講師陣の解説&字幕付きで舞台を体験&鑑賞します。12日はてだこホールで自由研究一丁あがり!です。
(山口将紀、浦添市てだこホール総務企画課チーフ)