<南風>永遠のエール


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 久方ぶりにアルバム写真を整理していると、ニュージーランドの経済視察の記念写真が、目に留まった。今から20年以上も前のもので、その中には、クイーンズタウンの絶景を背景に、写真に納まる安里カツ子さん(当時りゅうせき役員・元副知事)の御姿があった。生前の安里さんの眼差しや笑顔に見入っていると、私は、いつもエールを送られているようで、清々(すがすが)しい気分になる。もちろん、それには理由がある。

 実は、視察研修の際に、思いがけないトラブルが発生してしまったのだ。その上、私までも叱責(しっせき)を受ける羽目となり、意気消沈していた時のこと。私の様子を気にされた安里さんが、細やかな気遣いをされたのである。

 人間の機微に秀でた安里さんは「山城さん、世の中は、理不尽なことだらけ。気にすることは、何もないのよ。それに、物事をちゃーんと見ている人だって、いるんだから」と励ましてくれた。心のこもったアドバイスに、私は、救われた思いがした。紙幅の都合上、詳細は記せないが、最終的に特に問題もなく、視察に支障をきたさなかったのは、目に見えないところで、安里さんが終始尽力されたからに違いない。

 姉御肌の安里さんは、人を元気づける名人でもあったが、私は今もって、安里さんに励まされ続けている。気が滅入ったり、障害や困難が目の前に立ちはだかったりした時には、決まってこの写真に見入ったり、安里さんから頂いた素敵な名刺入れを手に取り、そっと眺めたりしているからだ。そうするだけで、安里さんのあの温かい眼差しや明るい声音、そして、貴重な数々のメッセージがたちどころにイキイキと動き出し、私にエールを送り始めるのだ。女性活躍推進のパイオニアは、私にとって、永遠の激励者でありアドバイザーなのである。
(山城勝、県経営者協会常務理事)