<南風>失敗が育てる自己肯定感


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 自分の子育てを振り返ることが度々ある。青年期になる親は良くも悪くも影響を与える。親になって親の気持ちも分かるが、子どもの気持ちも分かる。親は子のため、良かれと思ってやってきたことが、子どもにとっては、期待や親を悲しませたくないなどの感情が、壁を乗り越える際、邪魔になることがある。

 自己肯定感が低いと、何か困難にぶつかった時、乗り越えることができない。失敗を恐れ新しいことに挑戦できない。ということが起こってくるように思う。

 子どもの自己肯定感を高めるには「褒めること」「成功体験をたくさんさせること」とよく耳にするが本当にそうだろうか? 褒められると嬉しいが、何でも褒めればいいというものではない。成功体験ももちろん大事だが、成功できるように大人がスモールステップを設けて環境を整えてあげることは、転ばぬ先の杖を与えているだけのような気がする。

 失敗して、次はどうしたらできるようになるのか工夫し、考え、悩むことで成功する喜びを知ることができる。失敗に対して周りの大人がどういう意味付けをして子どもに伝えるかが大事なことではないか。

 成功も大事だが、失敗から学ぶことの方が価値があり、自己肯定を高めるチャンスではないだろうか。

 周りの大人が子どもを信じて、良いところも悪いところも全てを認め、見守っていくことで子どもは安心して挑戦していくことができる。人に信じてもらった子は人のことも信用し、自分のことも認められる人になる。長所は短所。ありのままの子どもを認めよう。

 失敗しても大丈夫。失敗した時の転び方、立ち直り方を一緒に考えるのが大人の役目ではないだろうか。失敗の経験を奪うのはもったいない。大人も失敗する。というお手本を見せるのも大事かと思う。
(平良和、沖縄リハビリテーション福祉学院教員、言語聴覚士)