<南風>琉響とチャンプルー文化


社会
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 今、沖縄のチャンプルー文化が、花盛りだ。琉球料理しかり。芸能音楽しかり。冠婚葬祭や伝統芸能においても、メイドインチャンプルーなるものが散見されるが、それはまるで数種の絵の具をミックスし、個々の特色を生かしながら、沖縄色を帯びた新たな色彩へと生まれ変わるようなものだ。豊かな柔軟性と自由奔放な発想のもと、日本本土はもとより諸外国の文化や生活スタイルをうまくオキナワナイズし、新たな文化を創造するのは、ウチナンチュの御家芸のひとつだ。

 かつて、アメリカンロックが沖縄に根づくやいなや、すぐにオキナワンロックが生まれ、紫やコンディショングリーンといったロックバンドが、日本本土を席捲(せっけん)したように、今やその土壌から、多くの魅力あるミュージシャンや芸能人が誕生している。近年は、西洋文化の核とも言うべきクラシック音楽が、チャンプルー文化の土壌に根づきつつあるが、その中心的役割を担っているのが、琉球交響楽団(琉響)である。

 琉響は、2001年に創設されて以来、岩崎セツ子県立芸大名誉教授や国際的指揮者の大友直人氏らの尽力のもと、定期演奏会をはじめ音楽人材の育成や地域貢献活動を行っている。「今、琉響でも実力ある音楽家が育っており、近い将来、国際的な音楽家が誕生するのも、夢ではない。沖縄にはその素地と資質がある」。お二人が熱く語るように、琉響の活動がさらに拡充すれば、間違いなく一流の音楽家が育つに違いない。

 この沖縄が、ミュージックアイランドとして大輪の花を咲かせるためにも、琉響の本格的なプロオケ化が望まれるところだが、その鍵は、ウチナンチュの民度のレベルや、チャンプルー文化の底力如何(いかん)にかかっているのではないか。換言すれば、沖縄のアイデンティティーの真価が、問われているとも言えよう。
(山城勝、県経営者協会常務理事)