<南風>地域は救世主


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 親戚縁者は全員県外在住、頼れるのは自分たちだけという我が家。ただ、現実には家族だけで立ち行かないこともあり、自分自身が悲鳴をあげたくなる時がある。そんな時大きな力になってくれるのが地域の人々だ。これはうちなーんちゅの方にとっては当たり前のことかもしれないが、県外出身者である私から見るととても魅力的なところ。自治会や学校という地域のつながりの中で生かしてもらっている。多くの目を注いでもらっている。人との柔らかなつながりが心地よい。地域の人との関係が希薄すぎず、濃すぎずいい塩梅(あんばい)なのだ。普段はあいさつ程度のあっさりした付き合いだが、困ったことがあれば救世主として降臨してくれる。ゆいまーるの精神なのか、等身大でお付き合いができるので、肩肘を張る必要がない。頑(かたく)なに地縁血縁だけで固めてしまおうということもなく、いちゃりばちょーでーが心地よく入ってくる。

 もちろん我が家も地域の人々と緩やかな関係性を築くことを意識してきた。地域や学校の行事にはできるだけ顔を出すこと、地域の魅力をたくさん発見すること。つまり、自らの住む街をもっと好きになることでそれが拠(よ)り所となり、自分のココロが安定する。疲れた時は少し休み、元気な時は前に進む。背伸びしないでお付き合いできる心の広さが備わってくる。自分の気持ちが安定すれば、感情に左右されず常に優しく見守る姿勢ができてくる。それは周りにいる人にも波及効果を与え、地域の安定にもつながっていくと思う。

 地域で支えあう姿勢ができていること。顔の見える付き合いが親族だけでなく地域の方々と構築できていること。これほど移住者にとって心強いことはない。そんな優しさに包まれた沖縄に私たち家族は支えられている。この施しを私たち家族は次の世代に引き継いでつなげていきたい。
(山口将紀、浦添市てだこホール総務企画課チーフ)