<南風>まずはやってみる


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 小さい頃の夢は、病院で働くことだった。それが、高校生の時に言語聴覚士という職業になり、今、言語聴覚士として働いている。夢が叶(かな)った。しかし夢は叶うと夢ではなくなり、次の目標、夢を見つけることができなかった。

 大学4年生の臨床実習初日に、指導者から「1日1回自分で自分を褒めなさい」と言われた。実習では、自分の無力さばかりが浮き彫りになり、嫌になることが多々ある。そんな時、何か一つでいいから今日の自分を褒めることを意識した。その作業を繰り返していると、あることに気づいた。

 今までの私は、人と比べてばかりいたから、自分に自信を持てなかった。昨日できなかったことができるようになった。1年前は分からなかったことが今は分かる。前の自分と比べると、意外にできることが増えている。その時から人と比べることはかなり減ったし、人と比べることの無意味さを知ることができた。今でも自分に自信があるわけではないが、前の自分に比べれば、だいぶ良い。そして、今の自分、悪くない。

 自分の思ったこと、直感を素直に受け入れ、行動することが大事なのかと最近思う。知識や常識に捕らわれているとなかなかできないが、行動してみると、意外に正しいと思っていたことが違っていたり、同じことを思っている人がいたりする。思い付きや直感で行動すると失敗も多々あるが、学ぶことの方が多い。

 「まずはやってみる」。それがなりたい自分になるための方法だろうな。自分はこれからも自分で生きていくしかない。人生1度きり。自分の人生、楽しみたい。母として、教員として、自分の生き方を背中で見せていけたらと思う。時々は腹も見せながら。

 これからも自分の直感を信じ、転んだら立ち上がり、やりたいことを一つ一つ叶えて、なりたい自分になる。
(平良和、沖縄リハビリテーション福祉学院教員、言語聴覚士)