<南風>おじさんの贈り物


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2014年3月、いよいよ「DESCENTEプレゼンツ第1回女子硬式野球沖縄大会」が恩納村で開催されました。怒涛(どとう)のように過ぎた半年間は無我夢中でした。恩納村をはじめ、多くの企業や個人の応援を頂き、この日を迎えました。

 遠い地での大会にもかかわらず、沖縄の女子野球発展のためにと快く参加していただいた県外チームの皆様にも、感謝の気持ちでいっぱいでした。

 県外のチームは空路移動でかなりの遠征費となるため、最低2試合できるよう試合を組みました。試合以外ではチーム同士の交流や恩納村の文化交流も兼ね懇親会も開きました。チーム紹介では、どのチームも全力投球のパフォーマンスの高さに毎回驚いています。

 恩納村の青年団による勇壮なエイサー披露のほか、エイサー体験もしてもらい、大いに盛り上がっています。沖縄大会の恒例行事になっていて、グラウンド以外で見せる彼女たちの笑顔もまた素敵なものです。

 忘れられない出来事があります。第3回大会の時、地元恩納村にお住まいと言う70代前半の男性が「どうしても伝えたくて」と2日間の全試合終了後、私と選手の元にやってきました。開口一番「感動した」「女の子でもここまで上手に野球ができるんだ」と目に涙を浮かべながら「本当に感動した。ありがとう」と買い物袋に入った硬式ボールをそっと差し出しました。

 「おじさんが持っていても使わないから、使ってちょうだい。そしてこれからも頑張ってね」と声をかけてくださいました。その言葉を聞いた瞬間、県民の皆さんに女子野球を観(み)てもらい、女子野球の魅力を肌で感じてほしいという大会の目的の一つを果たし、何かが伝わったと実感しました。男性の声かけが最高に嬉(うれ)しくて、思わず涙が出ました。また頑張ろうという気持ちが湧いてきました。
(新垣かおり、女子硬式野球 沖縄ティーダバル マネージャー)