<南風>沖縄で水球をメジャーに


社会
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 大学を卒業し、沖縄へ戻る飛行機の窓から見慣れた青い海が見えてきた。遠くに見える白いさざ波を窓越しに眺めながら「終わったんだ~」と思い、これまでの水球生活を振り返った。小学生の頃から続けてきた水球が終わった。振り返ると、楽しいこと、苦しいことがあったが、どちらかというと苦しいことが少し多かったかもしれない。しかし、水球を通して自分自身が成長できた。特に大学4年生の最後で一部に昇格できた時は、最高に嬉(うれ)しかった。

 そんなことを思い景色を眺めると、涙が出てきた。その涙は自分が頑張ったからではない。むしろ、その逆でなぜ、もっと頑張れなかったのか。自分の不甲斐(ふがい)なさに泣いた。今、振り返ると、その時が、水球指導者になって沖縄で水球をメジャーにしようと思った時かもしれない。

 32年ぶりにリオオリンピックに日本男子水球が出場し、若者に人気のアイドルが主演した「水球ヤンキース」というドラマで水球が取り上げられ、水球への関心が高まった。ここ数年は、沖縄フリッパーズや那覇商業高校、那覇西高校の活躍が広がり、女子水球部もあることが認知されるようになった。

 しかし、まだ、沖縄に水球ってあるんだ?という声を聞くことがある。マイナー競技を普及する取り組みについて尋ねられたりすると、まだ普及活動が必要だと痛感させられる。水球はヨーロッパで人気が高く、ハンガリーでは国技にもなっているスポーツ。現在、日本の水球はアジアナンバーワン。世界選手権10位と活躍。しかし、この結果を知っている人はそう多くはない。日本ではマイナーでも沖縄ではメジャーになれる!と何の確信もないのに日々、思いだけで、挑戦中。私にとって水球は、メジャー競技。こんな水球大好きになったのは、二人の恩師と出会ったからである。

(永井敦、那覇西高校水球部監督)