<南風>もやしのひげ取り


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 珊瑚舎スコーレには学習発表会やハーリー競争など様々な行事がありますが、合言葉は4Z(自準備、自作、自演、自片づけ)です。初等部、中等部、高等部、夜間中学いずれの生徒たちも、すべて自分たちの手で作り上げます。

 その行事のひとつに「とぅんじー(冬至)あしび」があります。年に1回のお楽しみパーティーのようなものです。決まりは「授業などで取り組んだことは出し物にしない」です。各学年、有志などそれぞれのグループで趣向をこらした出し物を準備し、本番までは秘密です。会場作りにも力が入ります。その年のテーマに沿った大きな壁画を4枚製作し、飾り付けなどの小道具も準備します。今回は夜間中学の生徒たちも天井から吊(つ)り下げる球形の飾りを250個作りました。早い人は登校時間の2時間前から来て、ゆんたくしながら作業をしています。今年はボランティア、保護者、卒業生も含めて27の出し物がエントリー、1グループ持ち時間5分です。いかに楽しみ、楽しんでもらえるか練習にも熱が入ります。

 夜間中学2年生は踊りの案もあったのですが、足の不自由な人がおり、直前になって決まったのは「もやしのひげ取り競争」です。生徒の一人が農連市場のもやし屋さんだったこともあり、全員納得。とはいえ、普段やっているひげ取りなんか出し物になるかと不安げです。本番は進行役の生徒がスタートの掛け声、もう一人の生徒がハーモニカで「もしもしカメよ」を演奏しエプロン姿の生徒たちを激励。タイムは3分間。ストップと言うところを「スタート」と言い間違え、会場は大笑い。沖縄ならではの「もやしのひげ取り」は大うけでした。で、もやしはひげを2ミリほど残して取ると、水揚げがうまくゆき長持ちするって、知ってましたか。夜間中学の生徒たちは必ずこうするそうです。
(遠藤知子、珊瑚舎スコーレ スタッフ)