<南風>ボクはサングヮー


社会
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 ボクはサングヮー。沖縄のオバアや母ちゃん達が作ってくれます。食べ物をお土産に人に持たせる時やお弁当にボクをチョコンと添えて、悪いものが付かないための魔除(まよ)けにします。

 ススキの葉やビニールひも、ネギ、ニラなどをクルッと片結びにして作ります。

 家の門口に立てて家の守りをするシバサシという名のデッカイ兄ちゃん達もいます。だいじな人達を大切に想(おも)う心が、守ってあげたいという気持ちがボク達を生んでくれました。それは、お金より尊い美しいもの。それがね、驚いたことにお土産屋さんにサングヮーが売られてるのを見つけたの。なんて可哀想(かわいそう)なサングヮー達! ボク達はお金で売り買いできるものじゃない! 人を想う気持ちはお金に換算できるものじゃないよ。

 「ゆかるひ」の道子さんも最近までボクのこと知りませんでした。実家があまり沖縄の風習を知らない家なので、国際通り近く(久茂地3丁目)でお店を始める前に沖縄のしきたりをよく知っているおばあ様に教えを請いに行きました。

 その方はカタハラウンブーをたくさん作って待っていてくれて、道子さんは家の御願のことや仏壇のお参りの仕方、お料理などたくさんのことを教わりました。

 おいとましようとした時、カタハラウンブーをお土産にして赤いビニール紐で作ったボクをのっけてくれたんです。道子さんが「これは何ですか?」と聞くとおばあ様が「サングヮーだよ」と教えてくれたってわけ。

 ムートゥヤーのおばあ様の家はしょっちゅう法事があって、いつも50個くらいのボク達を作って用意してあったのです。

 道子さんは感激してね、店で食べ物をお持ち帰りする時は、必ずボクを付けてあげようと決めたようです。ボクは、いつまでもいつまでも沖縄の人達をしっかり守っていきたいです。
(屋嘉道子、ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」店主)