<南風>JTA名物「島くとぅば」物語


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 「はいさい ぐすうよう ちゅううがなびら」。関西出身の機長が「島くとぅば」の機内アナウンスでご挨拶(あいさつ)すると、お客様の表情が笑みに変わり、機内は温かい雰囲気に包まれた。

 CA2年目の頃だった。私も名物機長と同じように「島くとぅば」で搭乗歓迎のアナウンスをしてみた。すると、驚いたことに機内が静まり返って、お客様が私のアナウンスに耳を傾けてくださるではないか。飛行機が出発する際の初めの挨拶で「島くとぅば」が流れるため、県外のお客様は理解できず、自分がどこ行きの飛行機に乗ったのだろうという表情で目を丸くした。ウチナーンチュのお客様は「方言上手だね~」とよく声をかけていただいた。時には、「方言を教えてほしい」と県外のお客様からリクエストされることもあった。

 「島くとぅば」を通して、多くのお客様との楽しい時間を共有した。ラジオ局の方言ニュース担当の先生に習い、モデルテープを作成。CA全体での実施を夢見ていた。

 2013年、沖縄県が「島くとぅば推進プロジェクト」の協力団体を募っていることを知って、「うちなーの翼」として協力しようと提案し、全CAが「島くとぅば」アナウンスを実施するようになった。しかも、宮古島や石垣島など各離島の島くとぅばも取り入れたものだ。今回は、両島出身のCAたちがモデルテープを作って全員で練習するようになった。今では県外出身のCAも上手だ。JTAでは先月から、沖縄本島、宮古島、石垣島の5種類の「島くとぅば」をシールにして配布し、お客様とのコミュニケーションツールとして役立てている。

 「島くとぅば」はお客様との懸け橋になった。「うちなーの翼」が発信する「島くとぅば」を多くのお客様に楽しんでいただきたい。いっぺーにふぇーでーびる。
(亀川智子、JTA客室乗務員JALJTAセールス法人G長)