<南風>地牛乳が無くなった


社会
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 2月1日に宮古島の地牛乳が無くなりました。

 もっと早く対策はなかったのかとか、宮古島の学校への供給はどうなるのかとか、直前になって騒がれていますが、それは私には関わることはできない。

 ただ、日本で2番目に旨(うま)い!と思っていた宮古島の宝物のような牛乳が、無くなってしまったという悲しみで落胆しています(一番は会津若松の牛乳でした)。

 全国を旅して感じることは、土地の人が当たり前すぎて気が付かないものが、実は全国を驚かせるような名産品だったりします。地元の人は、珍しいものじゃないと名産品にならない、と勘違いしているようで。

 宮古島で言うなら、味噌も日本でトップレベル。果物なら、スイカは日本一美味(おい)しい。宮古島のジャガイモの美味しさ、なんて北海道の人も驚くこと間違いなし。都会の人ならば、大金払ってもいただきたい味!です。宮古島の牛乳も、都会の高級スーパーなら喜んで扱うはずです。

 当たり前なものに宝物は隠れている。日常的なものが、実はその土地の「特別なもの」なのに、あまりに生活に溶け込んでいると見落としてしまうのでしょう。

 名産品やお土産のほとんどは、地元の住民が口にすることがないようなものばかりですよね。お土産にもブームがあります。その特産品やお土産開発の追いかけっこに参加する前に、地元の日常に目を向けると宝物があるはずなんです。

 移住者は、その土地の伝統や習わしには口出しはすべきじゃない、と私は思っています。が、住民が気がつかない日常の素晴らしさは、移住者が伝えるべきものか?とも思っています。

 沖縄の宝物は「日常」にある、と思っています。各地に根付いた日常がそのまま観光資源となり特産品となることに、地元の住民が誇りを持てるように、移住者の私は褒め続けていきます。
(江川ゲンタ、打楽器奏者 宮古島大使)