<南風>81歳のおともだち

 寒さ厳しい地域で暮らすフジエさん。冬の3カ月間は沖縄の娘さん宅で生活をされている。今年で4回目の沖縄。体調に少し不安な面はあるようだが、肌つやはよく、昨年よりも腰がシャンと立っておられる。元気そうでホッとした。

 今年の滞在中は、鍋を囲みながらいろいろな話を聴かせていただく機会が何度かあった。自前の畑で無農薬野菜を作っていて、地元で評判になっているとのこと。「いくつになってもほめられるとうれしいわ」と語る表情はとても生き生きとしていた。幼少時代の娘さんの話をするときも、今の娘さんのことを話すときも、娘さんに対する誇りと深い愛情に溢(あふ)れている。素敵な親子だなと感じる。

 フジエさんから絵手紙を数枚いただいた。自作の野菜や季節の花の絵に、言葉が添えられている。「出合をうれしく思います」「福を念じる」「笑顔で、笑顔で」。その時々の私にそっと寄り添うような言葉。私の「いま」を感じ取って、ここぞというタイミングで差し出してくださる。あたたかい気持ちに幸せを感じる。

 フジエさんは「今年はサンシンを弾きたい」とおっしゃった。「合(あい)、四(し)、工(こう)」と指の動きを確かめながら自分のペースで練習に励んでおられる。大好きな「安里屋ユンタ」を弾けるようになりたいと、サンシン教室にも足を運んでおられる。新しいことを始めるのに年齢など関係ない。うれしそうにサンシンの話をする表情を見ていると、そう実感させられる。年を重ねることは、新しいことにチャレンジできる機会が増えるということなのかもしれない。悪くないな、年を重ねることも。

 毎回、このコラムを心待ちにしておられるフジエさん。もうすぐ地元に戻られるのはさみしいですが、また来年もお会いできることを楽しみにしていますよ。どうか、いつまでもお元気で。
(吉川麻衣子、沖縄大学准教授 臨床心理士)



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