<南風>ベーシックインカム


社会
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 ゆかるひは、ブックカフェとホールが合体した空間で、中がコの字型につながっています。

 那覇市久茂地3丁目にオープンして1年4カ月経(た)ち、様々な勉強会や講演会が行われました。その中でも印象的な学びは、昨年4月25日の「エノ・シュミット氏と市民との交流会」と5月16日の「ブルーノ・カフマン氏講演会」でした。

 シュミット氏は、全ての国民に、生活に必要なお金を無条件支給する制度=ベーシックインカムを提唱しています。その画期的な仕組みは、すでにフィンランド、オランダ、ハワイで政府事業として始まっており、ウガンダ、ケニアなどでは民間企業による導入実験が実を結び始めています。

 一方、カフマン氏は「参加型民主主義」「積極的な市民権」「国境を越えた民主化」を提唱し、民主主義のあり方を問い直し続けています。

 全ての国民に生きるのに必要なお金が支給されたなら、金にならないからそんなことはやめたほうがいいと言われることもなく、夢を実践することができます。災害支援に行きたいけれど、自分が食べるだけで精いっぱいという現状も解消され、思いきりボランティアをすることもできます。当然、貧困児童、貧困家庭の問題もなくなるでしょう。

 けれども、今まで通りの国まかせ主義では、またもや国に都合の良い制度としてすり替えられる危険もあります。民が主となる、民が牛耳る、つまりダイレクトなデモクラシーと表裏一体となって、はじめて実現可能となるのではと思います。

 きょう6日午後6時半から沖縄大学3号館1階101号室で、エノ・シュミット氏、ブルーノ・カフマン氏、吉井美知子氏、具志堅要氏による講演会があります。市民の自治力を高めるため、ぜひ参加したいと思います。
(屋嘉道子、ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」店主)