宮古島は赴任してくる人たちが多いので、今の季節はお別れの季節でもあります。シャイな人たちが縁あって宮古島で出逢(であ)い、ようやく打ち解け合ったくらいに異動となる。
異動する人たちの代わりに新しく赴任される人たちへの期待感もありますが、それよりもずっと、別れの寂しさのほうが重く心に残ります。
移住して4年の私でさえ、こんな気持ちになるのですから、島の住民はもっと多くの別れの寂しさを感じてきたに違いありません。
宮古島は小さな島で、繁華街もひとつだからこそ、いろんな人との縁が生まれます。偶然が生んだ縁で知り合い、なにげない数年間でいろんな思い出もつくることができました。
同じ時間は二度とつくれないのだなぁ。
素敵な月日が当たり前のようにあったのに、急に人事により別れとなります。
赴任されていた方は、もちろんご自分がいつかは宮古島を離れることをわかっていて、赴任期間を宮古島で過ごしていたのでしょう。新たな場所で希望を持って活躍されることと思います。
まだ4年間しか暮らしていない私には、馴(な)れていないせいか、宮古島に残されてゆく寂しさみたいなものに包まれてしまう時期でもあります。その寂しさとは、イコール感謝なのですが。
また新しく赴任される方々と仲良く、いろんな思い出をつくることに励むでしょう。しかし、この春にお別れとなる方々とは、切ることのできない縁でこれからも結ばれていたいものです。
都会暮らしでは感じたことのない、島の暮らしの切なさと、同じだけの縁という宝物を受け止めています。
人と関わるからこそ知る縁と感謝と、別れの寂しさ。この想(おも)いがきっと、私の音楽をまたひとつ成長させてくれることでしょう。
(江川ゲンタ、打楽器奏者 宮古島大使)