<南風>後世へつなぐ世界遺産


社会
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 奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島世界自然遺産登録の機運が高まっている。登録されれば、琉球王国のグスク関連遺産群に続き、沖縄は文化と自然の二つの世界遺産を持つ唯一の県となる。まさに「蓬莱(ほうらい)の島」である。

 3月1日に開催された日本航空主催の世界自然遺産登録のシンポジウムに、私も総合司会として関わらせていただいた。有意義な学びの機会となった。

 JALグループは登録に向けて、国や地元自治体、企業と一緒に様々な支援活動を展開している。具体的には(1)JALの媒体を最大限活用した情報発信(2)統一ロゴをJALグループの機体のドア周りに貼付(3)プロモーション動画制作・機内放映(4)やんばる除草活動・ロードキル防止道路標識設置(5)JTA新機材ボーイング737―800型機ウイングレットへのペイント―などが挙げられる。

 翼の先端が上部に向いたウイングレット内側に施された希少動物のイラストは、JTA客室乗務員のデザインをベースにしている。現在は3機に描かれたヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギの可愛(かわい)らしい姿を客室側から楽しめる。希少動物を描いた応援バッグもデザインが好評で売れ行きがいい。

 私もその一人だが、この応援活動によって、多くの人たちが島に生きる多様な生物たちを知ることになったと思う。人間の都合で環境もどんどん変化してきた。やんばるの森に生息している希少動物たちの居場所が脅かされ、ロードキルによる淘汰(とうた)が危惧されている。

 世界中から観光客が訪沖する大観光時代、沖縄らしさの象徴でもある彼らは人類の宝物だ。あらゆる脅威から保護し後世に命をつなぐため、私たちに課せられた

役割は小さくない。南海の勝地から「自然との共生」をメッセージとして発信しよう。祈 世界自然遺産登録。
(亀川智子、JTA客室乗務員JALJTAセールス法人G長)