<南風>女子水球部誕生と旅立ち


社会
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 今年も多くの高校生が卒業した。本校、那覇西高校の女子水球部の選手も無事に卒業を迎え、通い慣れた学舎(まなびや)を巣立っていく頼もしい姿に感極まった。

 沖縄県内において女子水球部1期生となった彼女らが高校1年生の頃、ニュース番組や新聞、雑誌などで取り上げていただき、女子水球部の誕生が大きく報道された。そのおかげで女子水球があることが広まり、入部希望者が増えた。

 高校から水球に挑戦した女子部員たちは、25メートルを泳ぐのがやっとという状態であった。3年間続けられるか不安だったが、彼女らはどんなに厳しい練習にも耐えた。仲間同士で励まし合い、努力を重ねて競技力を向上させる姿に、練習だけで満足せず、試合で勝つ喜びを味わってほしいとの願いから、練習に熱がこもり、時に厳しいことも言った。その厳しさに、反発したくなることもあっただろう。水球を辞めようと思った日もあるかもしれない。しかし、彼女らはついて来てくれた。主将を中心にチームがまとまり、最後の大会で4勝。九州3位の結果を残すことができた。

 新しい部活はレールがなく大変な思いをするが、初には初の価値がある。輝かしい実績を残すことができなくても、他の誰にもできない、伝統の始まりとなることができる。手本となる先輩がいない中、チームの在り方を模索し、仲間と共に苦難を乗り越えたことは、人生の大きな糧になると信じたい。

 君たちがひたすらで、がむしゃらだった高校3年間を忘れず、前を向いて新しい道を歩んでほしい。

 そしていつか、素晴らしい伴侶に出会い母となった時には、君たちの子供たちに胸を張って伝統の始まりを聞かせてあげてほしい。

 水球を続けてくれてありがとう。君たちに出会えて良かった。

 卒業おめでとう。
(永井敦、那覇西高校水球部監督)